インプラント治療後3年以上で、40%の人が顎の骨に炎症
投稿日:2016年11月21日
カテゴリ:歯のコラム
先日、こんな注目ニュースが報じられました。
“金属を埋め込んで人工の歯を取り付けるインプラント治療が行われるようになっていますが、この治療を受けて3年以上たった人の40%余りが、細菌に感染することであごの骨が溶ける病気や、この病気になる前の段階の炎症を起こしていることが、学会が行った初めての調査でわかりました。専門家は、定期的に検診を受けるよう呼びかけています。”
(引用:NHKニュース)
一見、この記事の表面だけ見ると『インプラント治療後って怖い』という印象に陥る方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、少し落ち着いてこのニュースを分析してみましょう。
このニュースで問題なのは、金属を埋め込んだ骨が溶けてしまうインプラント歯周炎という病気になってしまう人が増えているという所です。
これは、インプラントを埋めているかどうかは別として、全ての人々に起こりうる問題だという所を注視しなければなりません。
たまたま、チタン製の人工歯根を埋めているために、あたかもそれが大きな問題のように見えてしまいます。しかし、実際はちょっと違います。
チタン製の人工歯根(インプラント)を埋めていようがいなかろうが、私たちは歯周炎始め歯周病に罹患するリスクに見舞われているということです。インプラント治療を行っていない人であっても、定期的に歯科医院でお口の中のメンテナンスをしてもらわなければ、しだいに歯周病は悪化していきます。人間が口からモノを食べる以上、歯周病というリスクにさらされているのです。
今回、インプラント歯周炎が問題になったのは、人工歯根を埋めた人はより一層歯周病に注意しなければならなかったのに、その認識が薄かった、つまりはその重要性を治療した歯科医院側の啓発が足りなかったという事でしょう。
当院にて精密義歯を選択される方は、『インプラント治療が怖いから』という理由で、義歯を選択される方が多くいらっしゃいます。確かに、チタン製の人工歯根(インプラント)を埋める外科手術が必要ないので、精密義歯はそういう点では患者様のニーズを満たすことができます。
しかしながら、精密義歯を装着している方であっても、定期的なお口のメンテナンスは必要です。残された歯や歯ぐきの健康を維持するためには、インプラント治療であろうが義歯であろうが、天然歯であろうが同じなのです。
今回のインプラント歯周炎の問題を機に、ぜひ、皆様でお口の健康について、再度考えていただければ幸いです。
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