入れ歯の豆知識 vol.2《部分義歯・パーシャルデンチャーの特徴》
投稿日:2019年3月18日
カテゴリ:入れ歯の豆知識
部分義歯の定義
部分義歯とは1歯の欠損から、1歯を残した欠損まで形態的、機能的な回復を目的とし て製作される着脱可能な装置です。一般的にパーシャルデンチャー(部分床義歯)と言います。
部分義歯の位置づけ
歯の欠損が小さい段階から大きくなるにつれ治療の方法は順番に、充填(プラスティックの詰め物)、インレー(小さな金属やセラミック)、クラウン(全体を被せる冠、さし歯)、ブリッジ、部分義歯やインプラント、総義歯という位置づけになります。
年齢による補綴物の推移
部分義歯は様々なパターンの部分的な歯の欠損に適応することが可能です。一般的に1~2本の欠損にはブリッジが適応されることが多いです。欠損歯数が増えたり、一番奥の大臼歯が抜けてしまうとブリッジが適応することが難しくなり、部分義歯を選択されることになります。インプラント もすべてのパターンの欠損に対応可能な治療法になります。
部分義歯の目的
部分義歯による治療の目的としては次のことが挙げられます。
- 咀嚼・発音などの機能 低下の回復
- 外観の回復
- 残存歯, はぐきの粘膜、顎関節などの保護
- 正常に回復された形態・機能の保持
- 患者の心理的な負担の解消
- 生活の質(QOL)の向上
- 残っている歯の移動・傾斜・捻転・てい出(歯ば伸びてくる)の防止と負担の軽減
- 咬合異常発生の防止
※一般的な保険診療の部分義歯
部分義歯の特徴:【ブリッジ治療との比較 】利点
- 支台歯(装置を支える歯)の切削量が少ない
- 欠損部の形態回復が比較的容易
- 修理・追加が比較的容易
- 一般にブリッジより安価(保険治療の場合)
- 適応範囲が広い(欠損歯数に関係なく適応できる)
部分義歯の特徴:【ブリッジ治療との比較 】欠点
- 噛める力がブリッジより低いケースが多い
- ブリッジに比べ異物感を感じやすく、慣れるまで発音しにくいことがある
- 審美性に劣る(歯にかけるフックが見えるものがある)
- 着脱の手間がかかる
※部分義歯の欠点を克服できるようになってきたのがミラクルフィット、ミラクルデンチャーといった審美機能義歯です。
部分義歯の特徴:【インプラントとの比較】利点
- 経済的で外科的侵襲低い (負担が少ない)
- 歯や歯ぐきの部分の形態回復が比較的容易
- 可撤性のため修理・追加が容易
- 適応範囲が広い
部分義歯の特徴:【インプラントとの比較】欠点
- 噛める力がインプラントより低いケースが多い
- 異物感を感じることがある
- 審美性に劣る(歯にかけるフックが見えるものがある)
- 着脱の手間がかかる
出典:「歯科国試パーフェクトマスター パーシャルデンチャー補綴学」 出版社:医歯薬出版株式会社
著者 阿部友佳(昭和大学講師)岩佐文則(昭和大学准教授) 馬場一美(昭和大学教授)
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